クロコダイル革の部位や種類、見分け方、最高の部位はどこか
- クロコダイル革の部位(5種類)
- クロコダイル革の種類(4種類)
- クロコダイル革ではないもの
- 最高の部位は、スモールクロコダイルの肚(ハラ)
- クロコダイル革の割き方(肚ワニ・背ワニ)
- 天然皮革と合成皮革(型押し・フェイク)
クロコダイル革の部位(5種類)
クロコダイル革は財布・バッグ・ベルト等に用いられる爬虫類皮革ですが、一般に以下の部位に分けられます。
部位 | 特徴・用途 |
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顎(アゴ) | クロコダイルの口下・首にある顎部位。長方形の細かな斑(鱗)が特徴。二つ折り財布・ミニ財布・スマホカバー等に使われているのを見かけます。 |
肚(ハラ) | クロコダイル革のメイン部位であり、最高級部位とされる腹・肚の部位。中央部分の竹斑(四角い鱗板)と、脇肚にかけての丸斑(丸みのある小さな鱗板)が最も美しく現れる部位。長財布・トートバッグなど比較的大きなアイテムに利用できます。 |
脇肚(ワキバラ) | 丸斑(丸みのある小さな鱗板)がメインとなる部位。二つ折り財布・ミニ財布などに使われます。 |
背中 | 背鱗板と呼ばれる背中の部位。ゴツゴツしており、ワイルドな見た目が特徴的。財布・バッグに部分的に用いられたり、ベルト等にも利用されます。 |
尾 | 竹斑(四角い鱗板)がメインとなる部位。肚部位の竹斑よりも長方形で均一に整列しているのが特徴。長財布など用いられます。 |
1番人気があり高価なのは、肚(ハラ)部位
一般には、肚(ハラ)部位が価値が高いとされます。

この部位には、クロコダイル革の特徴的な斑(鱗)模様である竹斑(四角い鱗板)と丸斑(丸みのある小さな鱗板)が含まれています。特に、1匹のクロコダイルから1枚しか取ることができないセンター1枚取りは、竹斑と丸斑の2つを同時に楽しむことができる贅沢な裁断方法とされます。

クロコダイル革の種類(4種類)
一般にクロコダイルとされるのは、以下の4種類です。
名称 | 特徴 |
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スモールクロコダイル |
別名ポロサス、イリエワニ。肚(ハラ)部位の斑(鱗)模様が最も美しいとされるクロコダイルで、最上級品の評価を得ている。「スモール」という名称が付いていますが、子供とか小さいという訳ではなく、斑(鱗)が細かく綺麗に揃っているという意味のようです。 |
ナイルクロコダイル |
スモールクロコダイル同様に、高級品として注目されている。肚(ハラ)部位の斑(鱗)模様が細かいですが、スモールクロコよりもやや長方形に寄っている。価格相場はスモールクロコよりもやや低価格な印象を受けます。 |
ラージクロコダイル |
肚(ハラ)部位の斑(鱗)模様がスモールクロコダイルよりも大きく、正方形に近いのが特徴。ハンドバッグ素材に用いると、正方形の斑(鱗)模様が美しく強調されるように思います。 |
シャムクロコダイル |
ラージクロコダイル同様に、肚(ハラ)部位の斑(鱗)模様が大きく正方形に近いのが特徴。ラージクロコダイルよりもわずかに斑(鱗)が小さいようですが、個人的には見分けが付きません。 「シャムクロコダイル」という名称の財布・バッグは個人的にあまり見かけないですが、単に「クロコダイル」と称しているものはコレに該当するのかもしれません。(不確定情報) |
最も高価とされるのはスモールクロコダイル(ポロサス、イリエワニ)
1番人気があり高価なのは、スモールクロコダイル(ポロサス、イリエワニ)です。スモールクロコダイルは海外ハイブランドのエルメスなどが入手経路を握っており、なかなか手に入れることが困難な皮革とされます。
私が知っている範囲では、クロコダイル革の老舗である池田工芸や東京クロコダイルが、スモールクロコダイル財布を取り扱っています。
輸入規制とJRA
クロコダイル革・パイソン革など爬虫類皮革の捕獲・輸入にはワシントン条約による規制があり、日本でこれら爬虫類皮革の製品を購入する場合、JRA認定の商品を購入するのが安心です。(JRA認定タグ付きのもの)

JRAとは、全日本爬虫類皮革共同組合の頭文字で、ワニ・ヘビ・トカゲ・オーストリッチ等の皮革製品に対して、ワシントン条約に基づき正しく輸入された皮革を使用して、日本国内で造られた日本製品であることを証明するものです。
特にクロコダイル財布・バッグは購入価格が高く、購入に失敗したくありません。高価な買い物をする際に、信頼ある日本製を探している方は、その商品にJRAタグがあるかどうかを確認するのが良いです。
ちなみに製造における全行程を日本で行った場合にJRA認定となるので、例えば縫製を海外で行った場合にはJRA認定されないようです。そのため、必ずしもJRA認定が必須という訳ではありません。(パイソン財布は海外縫製のものが結構出回っています)
クロコダイル革ではないもの
ワニ(目)ではあるが、クロコダイル(科)ではないもの。
名称 | 特徴 |
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アリゲーター |
クロコダイルとアリゲーターの違いは個人的にはよく知りませんが、学術的な分類では、クロコダイル科とアリゲーター科に分かれており、アリゲーターはクロコダイルではありません。(同じワニ目ではあります) 肚(ハラ)部位の斑(鱗)模様はクロコダイルに似ていますが、アリゲーターの方が胴が長く、やや縦に長い(長方形)ようです。 アリゲーターの主な生息地はアメリカで、主にアメリカ国内で消費されており、あまり日本国内には流通していないようです。 |
カイマン |
こちらもクロコダイル革ではないもの。皮革に馴染みのない方でもクロコダイルとカイマンの見分けが付くくらい、はっきり異なります。学術的にはアリゲーター科に属するようです。 肚(ハラ)部位の斑(鱗)模様は幾何学的に整列していますが、見た目がゴツゴツしており、荒々しい「ワニ革」のイメージそのもの。肌触りが硬くしわが強いのが特徴。価格もクロコダイル革よりも数段落ちますが、個性的な皮革なので、一周回ってカッコいい印象はあります。 |
最高の部位は、スモールクロコダイルの肚(ハラ)
以上のことから分かるように、クロコダイル革における最高級品とされるのは、スモールクロコダイルの肚(ハラ)部位です。


国内老舗メーカーの池田工芸や東京クロコダイルでも、このスモールクロコダイルの肚(ハラ)部位を使った財布が1番人気であり高価です。
クロコダイル革の割き方(肚ワニ・背ワニ)
部位ではなく、どのように革を割く(捌く)のかによって、クロコダイル革の分類があるよです。原皮1枚革の割き方。
名称 | 特徴 |
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肚ワニ |
主に腹・肚(ハラ)部位の革を活かすために割いたクロコダイル革。背中に切断のための切り込みが入っているため、背中の革は中央付近で断裂している。 |
背ワニ |
主に背面部位の革を活かすために割いたクロコダイル革。腹・肚に切断のための切り込みが入っているため、腹・肚の革は中央付近で断裂している。最も贅沢とされる肚部位のセンター取りはできない。 |
ワニ革の種類・用途によって、割き方も変わってくるのでしょう。(詳しくは知りません)
スモールクロコダイル(ポロサス)は肚部位が最上級なので、おそらくこれを活かすよう割くと思われます。(背ワニとはならない)
天然皮革と合成皮革(型押し・フェイク)
革には天然皮革と合成皮革があります。言葉の通り天然皮革は天然のもの、合成皮革は人工のものです。
名称 | 特徴 |
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天然皮革 |
牛革・クロコダイル革など爬虫類皮革。牛革を例に挙げると、牛革のシボ(シワ模様・凸凹)や血筋(血管の痕)には個体差があり、オンリーワン(1点物)が天然皮革の特徴。 |
合成皮革(合皮) |
布地や不織布にポリウレタン(PU)樹脂など合成ゴムを塗って作られた人工物。牛革のシボ(シワ模様・凸凹)を再現するために、型押し作業がある。 合皮はモノによっては完成度が高いため、素材の表示がないと天然皮革のフェイクを購入してしまう可能性もあります。(見分けの付かない人にはJRA認定タグがあると安心) |
合成皮革に似た言葉として人工皮革があります。合成皮革との違いは、ベース(基材)に特殊不織布を用いているか否かの違いらしいですが、「天然ではない」という意味で同義なのでこちらは割愛します。
