パイソン革の部位(カット)や種類、見分け方、最高の部位はどこか
- パイソン革の割き方、部位
- パイソン革の種類(代表的なもの)
- パイソン革ではないもの
- 最高の部位は?
- 天然皮革と合成皮革(型押し・フェイク)
パイソン革の割き方、部位
パイソン革の原皮(1枚革)の割き方は、以下の2種類。
名称 | 特徴 |
---|---|
フロントカット (腹割り) |
パイソンの腹に切り込みを入れる方法。主にパイソンの全身を覆う美しいウロコ模様(斑紋)を活かすために割く。全身を覆うウロコ模様(斑紋)を広範囲に活用できる。フロントカット・ベリーカットともいう。 名称の元にもなっているダイヤモンドパイソンには、全身にダイヤ型の連続的なウロコ模様(斑紋)があり、その斑紋を活かした財布・バッグが人気です。フロントカットでは、繊細な小さいダイヤ型のウロコと、不規則な幾何学模様の2つを楽しむことができます。 部位としては、腹部位を除く全身。 |
バックカット (背割り) |
パイソンの背中に切り込みを入れる方法。主に腹部位のウロコ模様(斑紋)を活かすために割く。腹の中央には大きなウロコが縦に連続しているのが特徴。バックカットともいう。 この部位を活かしたパイソン財布は、財布の中央に大きなウロコが縦に整列しているのが特徴的です。 部位としては、腹部位。 |
パイソン革は財布・バッグ・靴・ベルト等に用いられる爬虫類皮革ですが、主にフロントカット(腹割り)とバックカット(背割り)の2つに大別されます。
部位による価格差はあまりない
パイソン財布を仕立てる場合、1枚のパイソン革から財布数個分の素材(1枚革)が取れるので、パイソン財布の価格は比較的安価(2万円~3万円ほど(JRA認定品))に抑えられます。
また、フロントカット・バックカットには価格差があまりなく、クロコダイル革に比べて価格が安価で手に入れやすい。
一般に、ウロコの配置が綺麗なほど高価になる傾向があります。
パイソン革の種類(代表的なもの)
パイソンは、ニシキヘビ科(Pythonidae)のヘビの総称で、主に東南アジア・オーストラリア・アフリカなどに生息しています。パイソンの種類は多く存在し、それぞれに特徴的なウロコ模様(斑紋)を持ちます。私が知っている商業用パイソン革で代表的なものを紹介します。
名称 | 特徴 |
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ダイヤモンドパイソン |
和名アミメニシキヘビ。 市場流通量が多く、パイソン革の中で主流のもの。名前の由来である「ダイヤモンド」は、ダイヤ型のウロコ模様(斑紋)をもつことから来ています。特に腹部位の大きなウロコを中心に、左右に大小のダイヤ型ウロコが散りばめられる姿は、まるで宝石が埋め込まれているかのような美しさがあります。世界最大級の体長を誇り、商業的にも利用価値の高さが伺えます。 |
モラレスパイソン |
和名ビルマニシキヘビ。 不規則で面白い幾何学模様を奏でるパイソン革。斑紋に規則性のあるダイヤモンドパイソンよりも、クレイジーで個人的に好きです。個性的なウロコ模様(斑紋)を活かした製品が多い。ダイヤモンドパイソン同様、世界最大級の体長を誇り、商業的にも利用価値が高い。 |
レッドパイソン |
和名ヒイロニシキヘビ。 名前からも分かるように、全身が赤みを帯びたニシキヘビ。和名のヒイロは、鮮やかな赤色の緋色(ひいろ)から来ています。尾が短く胴が太い体型が特徴で、ショートテールパイソンとも呼ばれます。レッドパイソンも個性的なウロコ模様(斑紋)をもちますが、ダイヤモンドパイソンやモラレスパイソンに比べてあまり評価が高くなく、ウロコ模様(斑紋)は脱色されて市場に出回るといいます。 レッドパイソンの財布はあまり見かけたことがありません。ダイヤモンドパイソンをレッドに染色した財布は見かけますが、こちらの方が需要があるようです。(この場合、幾何学的な斑紋もあります) |
主流はダイヤモンドパイソン
パイソン革で圧倒的に人気かつ市場流通量が多いのは、ダイヤモンドパイソンです。

ダイヤモンドパイソンは、名前の由来ともなっているダイヤ型のウロコが綺麗に整列しており、斑紋も規則性があって美しい。また世界最大級の体長を誇り、1枚のパイソン革からセンター取りを何個も取ることができます。価格も比較的安価(2万円~3万円ほど(JRA認定品))であり、商業的価値が高いのも頷けます。
パイソン革ではないもの
ヘビ(亜目)ではあるが、ニシキヘビ(科)ではないもの。
名称 | 特徴 |
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ボアコンストリクター |
ボア科に属するヘビ。 南米に生息。ひし形・楕円・円形状の斑紋が特徴。皮革のほか、ペット飼育用にも需要がある。 |
アナコンダ |
ボア科に属するヘビ。 南米に生息。世界最大級のヘビとして知られる。ダイヤモンドパイソン同様、体長が10mにもなるという。ダイヤモンドパイソンよりも胴回りが太く、重さでいえばアナコンダの方が重量級。大きな楕円・円形状の斑紋が特徴。 |
キングコブラ |
コブラ科に属するヘビ。 東南アジアに生息。体長はそれほど大きくないため、財布小物・ベルトなどに用いられる。楕円形の小さなウロコが整列しており、特徴的な斑紋も見られる。 |
カロング |
ヤスリミズヘビ科に属するヘビ。 ミズヘビであり、東南アジア・オーストラリア北部などの淡水に生息。ヤスリのようなざらざらの表皮が特徴。猫の目のような斑紋をもち「キャッツアイ」とも呼ばれる。 カロングは他のヘビ革とは一線を画す評価を得ており、牛革のようなシボ・凹凸をもつ。カロングレザーは、爬虫類皮革の中でも軽量で上品なヘビ革として注目されている。 |
楽天市場・Amazonなど大手ネット通販ではあまり出回っておらず、画像を交えて紹介できず残念です。
最高の部位は?
先述しましたが、クロコダイル革に比べて、パイソン革は部位による価格差があまりなく、フロントカット・バックカットいづれも比較的安価で購入できます。
基本的には継ぎ目なしセンター取りの製品が多いです。ヘビ革の種類としてはダイヤモンドパイソンが多くを占め、バックカットの製品が多い印象です。
天然皮革と合成皮革(型押し・フェイク)
革には天然皮革と合成皮革があります。言葉の通り天然皮革は天然のもの、合成皮革は人工のものです。
名称 | 特徴 |
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天然皮革 |
牛革・クロコダイル革など爬虫類皮革。牛革を例に挙げると、牛革のシボ(シワ模様・凸凹)や血筋(血管の痕)には個体差があり、オンリーワン(1点物)が天然皮革の特徴。 |
合成皮革(合皮) |
布地や不織布にポリウレタン(PU)樹脂など合成ゴムを塗って作られた人工物。牛革のシボ(シワ模様・凸凹)を再現するために、型押し作業がある。 合皮はモノによっては完成度が高いため、素材の表示がないと天然皮革のフェイクを購入してしまう可能性もあります。(見分けの付かない人にはJRA認定タグがあると安心) |
合成皮革に似た言葉として人工皮革があります。合成皮革との違いは、ベース(基材)に特殊不織布を用いているか否かの違いらしいですが、「天然ではない」という意味で同義なのでこちらは割愛します。
