イギリスとフランスで活躍した女優ジェーン・バーキン(1946~2023)から名づけられた、エルメスを代表するハンドバッグ。その人気と知名度は同エルメスの「ケリー」と双璧を成します。簡単には手に入らないため非常に高額で取引されており、中には数千万円を超える超レアなバッグも存在。
1984年、当時のエルメスの社長ジャン=ルイ・デュマが、偶然にも女優ジェーン・バーキンと機内で隣り合わせたことが同バッグ誕生の由来です。ジャン=ルイ・デュマは、ジェーン・バーキンが彼女の籐のカゴにあらゆる荷物を詰め込んでいる姿を見て、「何でも入れられるバッグ」をプレゼントすると会話の中で申し出ました。彼女のように、忙しく活動する女性のニーズに合わせた「理想のバッグ」が、バーキン(Birkin)なのです。
バーキンの特徴をピックアップ。
冒頭で紹介した通り、バーキンのコンセプトは忙しい女性のための「何でも入れられるバッグ」です。仕事・プライベート・家事・育児と、忙しい女性が手軽に扱えるカジュアル志向のバッグが、バーキンです。
ジェーン・バーキン自身は、フラップを開けたまま文字通り「何でも荷物を詰め込んで」使用していたらしいですが(笑)。実はバーキンが人気になった理由は、高価なエルメスのバーキンバッグを、彼女自身がまるでスーパーのレジ袋のように粗雑に扱っていた姿が「カジュアルでかっこいい」と映ったからです。
なかなか真似できないですよね(笑)。
バーキンには幾つかのサイズが存在しますが、ハンドル部分に腕を通して提げる、ハンドバッグのように手に持って運ぶスタイルが基本です。フラップ(かぶせ)が付いているので、フラップを閉じてフォーマルにまとめたり、ジェーン・バーキンのようにフラップを開けて大きめ荷物をガンガン入れるスタイルを取ることもできます。
バーキンは、エルメスによる最初のバッグ「オータクロア」が原型とされます。このバッグが登場した1892年頃は、ようやく移動手段が馬車から車に変化し始めた時代で、オータクロアも大型の荷物を運べる男性用バッグという位置づけでした。そして時代を経て女性も社会にどんどん出る時代が訪れ、冒頭のジェーン・バーキンのための「何でも入れられるバッグ」バーキンが誕生します。
そういった制作背景もあって、バーキンは抜群の収納力を誇り機能性に富んでいるのが特徴です。
上画像は人気のバーキン30ですが、マチ(奥行)が広く色々な荷物を収納できるのが分かります。冒頭のエピソードで登場した「あらゆる物を詰め込める」「何でも入れられるバッグ」が体現された魅力的なバッグです。具体的な収納アイテムとしては、長財布や化粧ポーチ、スマートフォン、手帳、ハンカチ、500mlのペットボトルなどを収納するのに適しています。
バーキンは1980年代の登場以来、これまで様々なモデルが発表されてきました。ベースとなる外観は発売当初より踏襲されていますが、生地に用いられる素材やカラーは、様々登場しています。詳細は後述しますが、素材の種類は数十種類以上、カラーに至っては200種類以上もあります。
同じカラーでも素材によって発色が異なるので、その組み合わせは数千パターンといえます。
バーキンは大量生産は行っておらずその数に限りがあるため、入手が非常に困難です。
店頭で販売されることは稀(まれ)であり、またその人気の高さからお店に出回っても常連客用に確保されてしまうため、一般の客が新品を定価購入することは難しいです。中古品・転売品がメインであり、たとえ中古品であっても高額な値段が付くものは数千万円で取引されています。
同ブランドで人気を共にするケリーとの違いについて。
ケリーもバーキンも、1892年に登場したエルメス最初のバッグである「オータクロア」を源流としています。「オータクロア」が登場した19世紀後半は、まだ女性用バッグというものが登場しておらず「オータクロア」は男性のために作られた、しっかりした造りの大型バッグでした。
バーキンは「オータクロア」のデザインに近く、直系というイメージです。収納力に優れており、バーキンが誕生した由来でもある「女性のための、何でも入れられるバッグ」をコンセプトとしています。
一方のケリーは、「オータクロア」を女性用に改良した「サック・ア・クロア」の流れを汲みます。そのため、ケリーには女性らしい上品さ・かわいらしさが備わっているのが特徴です。
またバーキンは、「ミニケリー(幅20㎝)」など幅が小さい小型バッグのラインナップが充実しています。より女性をターゲットとしているバッグであることが分かります。
機能面でいえば、以下の違いがあります。
ケリー | バーキン | |
---|---|---|
ハンドル | 1本 | 2本 |
フラップ(上蓋) | 閉じて使用する | 開けたまま使用してもOK |
ショルダーストラップ | あり | なし |
持ち方 | 手に持つ、肩に掛ける | 手に持つ、腕に提げる |
2019年にバーキンの外縫いバーションである「バーキンセリエ」が登場しました。バーキンは通常「内縫い」であるため、それと区別するかのように外縫いのバーキンセリエが登場しています。
バッグ隅にステッチ(縫い目)を確認できます。
通常のバーキンはステッチが内縫いなので、四隅がクタっとなりがちですが、外縫いのバーキンセリエは四隅までスラリと仕上がっており、シャープな印象を受けます。また縫い目がデザインの役割も担っているので、好みによってはバーキンセリエの方が良いと感じる方も居るかもしれません。
外縫いのバーキンセリエはややフォーマルな仕上がり、通常のバーキンはコンセプト通りカジュアルな仕上がりです。
バーキンのサイズ種類は、バッグの横幅(㎝)によってバーキン25、バーキン30のように呼び分けられます。
バーキンのサイズは、現在以下の5種類が確認されています。
モデル | サイズ |
---|---|
バーキン25 | 幅25㎝ × 高さ21㎝ × マチ13㎝ |
バーキン30 | 幅30㎝ × 高さ22㎝ × マチ16㎝ |
バーキン35 | 幅35㎝ × 高さ27㎝ × マチ18㎝ |
バーキン40 | 幅40㎝ × 高さ29㎝ × マチ21㎝ |
バーキン45 | 幅45㎝ × 高さ30㎝ × マチ21㎝ |
名称 | 一般的サイズ |
---|---|
長財布 | 幅20㎝ × 高さ10㎝ × マチ3㎝ |
500mlペットボトル | 高さ21㎝ × 直径7㎝程度 |
折り畳み傘 | 高さ24㎝ × 直径6㎝程度 |
画面サイズ | 対角線 | 縦横長さ |
---|---|---|
13型 | 33.02㎝ | 28.78㎝ × 16.19㎝ |
13.3型 | 33.79㎝ | 29.45㎝ × 16.57㎝ |
A4用紙 | 29.70㎝ × 21.00㎝ | |
14型 | 35.56㎝ | 31.00㎝ × 17.44㎝ |
15型 | 38.10㎝ | 33.21㎝ × 18.68㎝ |
15.6型 | 39.63㎝ | 34.54㎝ × 19.43㎝ |
B4用紙 | 36.40㎝ × 25.70㎝ |
機内持ち込みサイズ | |
---|---|
3辺の合計 | 115㎝(以内) |
3辺の長さ | 55㎝,40㎝,25㎝(以内) |
総重量 | 10㎏(以内) |
バーキンの人気サイズは、バーキン25, バーキン30です。
バーキンの定番・人気素材は、トゴ, トリヨンクレマンス, スイフトです。
バーキンはロングセラーモデルであり、その素材は累計で数十種類以上にも及びます。長い歴史の中で廃番となってしまった素材もあり、素材ひとつをとっても、歴史と奥深さを知ることができます。
定番色・人気色とされるのは、ブラック, エトゥープ, クレ(ホワイト系), ピンク系です。
バーキンのカラーは何と200種類以上!
長い歴史の中で毎年「新色」が発表され、中古品との累計を合わせると200種類を軽く超えます。様々な色合いが用意されているというよりは、「グレー系」「ホワイト系」「ピンク系」といったようにある範囲の色見にグラデーションが用意されている印象です。
バーキンの金具には、数種類のカラーがあります。
定番金具はシルバー, ゴールドです。他にも光沢のない「マットシルバー」「マットゴールド」や、ローズ(ピンク)色に輝く「ローズゴールド」といった金具がありますが、いずれも限定モデルや希少モデルに用いられる場合が多く、お目に掛けるのは少ないです。金具も選択カラーによっては、メインカラーや外観に影響を与える重要なパーツです。
好みによりますが、私は「ホワイト」「シルバー金具」の合わせやすさが好きです。
エルメスには、顧客自ら素材・カラー・パーツを選べるパーソナルオーダー(スペシャルオーダー)という制度があります。
パーソナルオーダーは誰でも注文できる訳ではなく、エルメス販売店員とのお付き合いが深い(いわゆる上客)になることが最低条件といわれます。一見するとパーソナルオーダー品は手に入らないように思えますが、実はパーソナルオーダー品は中古市場に出回っています。
中古市場のパーソナルオーダー品は、どなたかがご注文された「歴史背景をもつバッグ」ということになります。
人気サイズ | バーキン25, バーキン30 |
---|---|
人気素材 | トゴ, トリヨンクレマンス, スイフト |
人気カラー | ブラック, エトゥープ, クレ(ホワイト系), ピンク系 |
定番金具 | シルバー, ゴールド |
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