1935年に誕生した、エルメスを代表するハンドバッグ。片手で扱える女性用の小型バッグで、フォーマルにもカジュアルにも活躍できる、上品さ・かわいらしさを備えています。
ケリーは元々「サック・ア・クロア」という名称でしたが、1956年当時、モナコ公妃となった女優グレース・ケリーがパパラッチに妊娠中の姿を撮影された際、とっさにこのバッグでお腹を隠したことで「ケリー」と名付けられたエピソードを持ちます。(モナコ王室も公認)
ケリーには現在以下の2タイプがあります。
ケリー |
---|
通常タイプ。平均サイズから大きめサイズまで、サイズ展開が豊富にあります。 |
ケリー(ミニ系) |
通常のケリーより全体サイズが小さく、横幅はおおよそ20㎝以下に抑えられています。「ミニケリー」「ミニミニケリー」などがあります。 |
ケリーの特徴をピックアップ。
ケリーバッグが誕生したのは1935年のこと。エルメス最初のバッグである「オータクロア」を改良し、女性が片手でも扱えるよう持ち手を1本にした「サック・ア・クロア」が登場します。「オータクロア」が男性のために作られたバッグであるのに対し、「サック・ア・クロア」は女性層を意識して作られています。
この女性用ハンドバッグが、後の「ケリー」です。(ケリーの由来は冒頭で紹介した通り)
ケリーは、正面からみた「台形フォルム」、サイドからみた「三角形のマチ」、トップハンドルは「1本のハンドル」、切り込みの入った「フラップ(開閉蓋)」、フラップを締める「クロア(留め具)」からなります。
これらケリーのもつ特徴的な形状はエルメス特有のものでしたが、ブランドバッグの先鋭的役割を果たしてきた同ブランドの位置付けなどにより、現在では様々なブランドがこの形状を真似ているといわれます。
ケリーやバーキンなど、「オータクロア」の流れを汲むバッグに備えられているのが、特徴的なクロア(留め具)です。
クロアには円形の通し穴が備えられており、専用のカデナ(南京錠)を付けることで、堅牢性を高められる設計になっています。
ケリーには、「外縫い」と「内縫い」があります。
「外縫い」と「内縫い」の違いは、ステッチ(縫い目)が外から見えるか見えないかです。ケリーの縫い目は主にハンドル部分・トップ部分・サイド部分・底面にありますが、ケリーの縫い目については
ステッチを「外縫い」にするか「内縫い」にするかで見た目の印象がぐっと変化します。
「外縫い」はステッチがデザインの役割も果たすため、見た目がスラリとします。使っている素材にもよりますが、ヨレやクタっとする感じがなく、サイド部分がビシっと決まります。反面、やや窮屈で固い印象もあります。フォーマルな場やスタイリッシュにコーデしたい場合、「外縫い」が良いです。
縫い目が内側にくる「内縫い」は、サイド部分が丸みを帯びてゆったりした印象を与えます。余計な縫い目が見えないので、革素材そのものの魅力を伝えるのにも適します。ゆとりがあって柔らかい印象なので、カジュアルな場や普段の外出など、あまり気にせず使えるのが「内縫い」です。
同ブランドで人気を共にする「バーキン」がカジュアル志向であるのに対し、ケリーはフォーマルにもカジュアルにも活躍できるのが特徴です。上品さ・かわいらしさでいえばケリーに軍配が上がると思います。フォーマルな場や式典、パーティーなど女性が持ち歩くバッグとしてケリーはおすすめです。
ケリーは1935年の登場以来、これまで様々なモデルが発表されてきました。ベースとなる外観は発売当初より踏襲されていますが、生地に用いられる素材やカラーは、様々登場しています。詳細は後述しますが、素材の種類は数十種類以上、カラーに至っては200種類以上もあります。
同じカラーでも素材によって発色が異なるので、その組み合わせは数千パターンといえます。
ケリーは大量生産は行っておらずその数に限りがあるため、入手が非常に困難です。
店頭で販売されることは稀(まれ)であり、またその人気の高さからお店に出回っても常連客用に確保されてしまうため、一般の客が新品を定価購入することは難しいです。中古品・転売品がメインであり、たとえ中古品であっても高額な値段が付くものは数千万円で取引されています。
ケリーもバーキンも、1892年に登場したエルメス最初のバッグである「オータクロア」を源流としています。「オータクロア」が登場した19世紀後半は、まだ女性用バッグというものが登場しておらず「オータクロア」は男性のために作られた、しっかりした造りの大型バッグでした。
バーキンは「オータクロア」のデザインに近く、直系というイメージです。収納力に優れており、バーキンが誕生した由来でもある「女性のための、何でも入れられるバッグ」をコンセプトとしています。
一方のケリーは、「オータクロア」を女性用に改良した「サック・ア・クロア」の流れを汲みます。そのため、ケリーには女性らしい上品さ・かわいらしさが備わっているのが特徴です。
またケリーは、「ミニケリー(幅20㎝)」など幅が小さい小型バッグのラインナップが充実しています。より女性をターゲットとしているバッグであることが分かります。
機能面でいえば、以下の違いがあります。
ケリー | バーキン | |
---|---|---|
ハンドル | 1本 | 2本 |
フラップ(上蓋) | 閉じて使用する | 開けたまま使用してもOK |
ショルダーストラップ | あり | なし |
持ち方 | 手に持つ、肩に掛ける | 手に持つ、腕に提げる |
ケリーには、ケリー、ケリー(ミニ系)の2タイプがあります。
通常のケリーよりも全体サイズが小さく設計された「ミニ系」には、「ミニケリー」「ミニミニケリー」などがあります。それぞれ似た名前なので混乱してしまいそうですが、サイズやハンドル部の形状などが異なります。
ケリーのサイズ種類は、バッグの横幅(㎝)によってケリー25、ケリー28のように呼び分けられます。
ケリーのサイズは、現在以下の6種類が確認されています。
ケリー(ミニ系)のサイズは、現在以下の3種類が確認されています。
モデル | サイズ |
---|---|
ケリー25 | 幅25㎝ × 高さ19㎝ × マチ9.5㎝ |
ケリー28 | 幅28㎝ × 高さ22㎝ × マチ11.5㎝ |
ケリー32 | 幅32㎝ × 高さ23㎝ × マチ12㎝ |
ケリー35 | 幅35㎝ × 高さ25㎝ × マチ13㎝ |
ケリー40 | 幅40㎝ × 高さ26㎝ × マチ15㎝ |
ケリー50 | 幅50㎝ × 高さ35㎝ × マチ20㎝ |
モデル | サイズ |
---|---|
ミニミニケリー | 幅15㎝ × 高さ11㎝ × マチ5㎝ |
ミニケリー2 | 幅19㎝ × 高さ12㎝ × マチ5.5㎝ |
ミニケリー | 幅20㎝ × 高さ14㎝ × マチ9㎝ |
名称 | 一般的サイズ |
---|---|
長財布 | 幅20㎝ × 高さ10㎝ × マチ3㎝ |
500mlペットボトル | 高さ21㎝ × 直径7㎝程度 |
折り畳み傘 | 高さ24㎝ × 直径6㎝程度 |
画面サイズ | 対角線 | 縦横長さ |
---|---|---|
13型 | 33.02㎝ | 28.78㎝ × 16.19㎝ |
13.3型 | 33.79㎝ | 29.45㎝ × 16.57㎝ |
A4用紙 | 29.70㎝ × 21.00㎝ | |
14型 | 35.56㎝ | 31.00㎝ × 17.44㎝ |
15型 | 38.10㎝ | 33.21㎝ × 18.68㎝ |
15.6型 | 39.63㎝ | 34.54㎝ × 19.43㎝ |
B4用紙 | 36.40㎝ × 25.70㎝ |
機内持ち込みサイズ | |
---|---|
3辺の合計 | 115㎝(以内) |
3辺の長さ | 55㎝,40㎝,25㎝(以内) |
総重量 | 10㎏(以内) |
ケリーの人気サイズは、ケリー25, ケリー28, ケリー32です。
ケリーの定番・人気素材は、トゴ, エプソンです。
ケリーはロングセラーモデルであり、その素材は累計で数十種類以上にも及びます。長い歴史の中で廃番となってしまった素材もあり、素材ひとつをとっても、歴史と奥深さを知ることができます。
定番色・人気色とされるのは、ブラック, エトゥープ, クレ(ホワイト系), ピンク系です。
ケリーのカラーは何と200種類以上!
長い歴史の中で毎年「新色」が発表され、中古品との累計を合わせると200種類を軽く超えます。様々な色合いが用意されているというよりは、「グレー系」「ホワイト系」「ピンク系」といったようにある範囲の色見にグラデーションが用意されている印象です。
ケリーの金具には、数種類のカラーがあります。
定番金具はシルバー, ゴールドです。他にも光沢のない「マットシルバー」「マットゴールド」や、ローズ(ピンク)色に輝く「ローズゴールド」といった金具がありますが、いずれも限定モデルや希少モデルに用いられる場合が多く、お目に掛けるのは少ないです。金具も選択カラーによっては、メインカラーや外観に影響を与える重要なパーツです。
好みによりますが、私は「ホワイト」「シルバー金具」の合わせやすさが好きです。
人気サイズ | ケリー25, ケリー28, ケリー32 |
---|---|
人気素材 | トゴ, エプソン |
人気カラー | ブラック, エトゥープ, クレ(ホワイト系), ピンク系 |
定番金具 | シルバー, ゴールド |